Tsismoso

在日ふぃりぴん人よもやま話

親の心子知らず、子の気持ち親分からず

2006.04.14

category : 事例

知り合い夫婦の奥さんには、今の日本人ご主人と結婚する前、フィリピンで当時付き合っていたピノイの彼氏との間にできたAちゃんという娘がいる。

お決まりのパターンで、この娘を食べさせるために娘の世話は家族に頼んでジャパユキとなり、何度目かの来日時に知り合った今の旦那と結婚した。


結婚する前に娘のことは旦那に話さなかったそうたが、結婚後数年経ってから打ち明けたところ、旦那は怒ったりせずに日本に連れてきて一緒に暮らそうと言ったという。ナイスな旦那さんである。


ところが、これは本人も話してくれていないんだが、なぜか彼女はこの旦那の提案にのらず、娘を日本に連れてこようとはしなかった。もちろん養育費の送金は続けていたが、娘のAちゃんは実の母親とはずっと離れたまま育つこととなった。


そのうちこの夫婦にも子供が二人できた。フィリピンの実家で暮らしているAちゃんももちろん大きくなり、気が付いたときには高校を卒業し、いい年頃の娘さんになっていた。


ある日、突然娘から電話が。それもフィリピンからではなく日本国内からだ。母親がどうしたのか、今どこにいるのか聞くと、ジャパユキとして初来日したが、言葉も通じない酔っぱらいすけべ親父の相手をするのがこんなに嫌なこととは思わなかった、ここから逃げたいと泣いた。


地理に不案内な娘(何年も日本にいるこの母親自身も生活圏の外となると娘と大差ないが)からどうにか場所を聞くと、夫婦が住む町からは列車でも数時間掛る他県のPパブの寮にいることが分かった。


数日後深夜旦那が運転する車で娘から聞いたあやしい住所と地図を頼りに娘のもとに向かい、娘と娘の旅行かばんをピックアップ、びくびくしながら家に戻った。


娘が落ち着いたあと、母親はなぜ来る前に一言相談もしなかったのかと問いつめたが、娘は口を閉ざした。旦那は激情する妻をまあまあ、後でゆっくり話せばいいさと妻をなだめ、日本語がまだできない娘にゆっくり休みなさいと言い、寝られる部屋を用意した。


母親は、ジャパユキにするために学校に行かせたんじゃない、などとまだ興奮が冷めないようだったが、旦那がとにかくもう寝なさいとそくした。



数日後、娘が自分のところにいることを報告しておこうとフィリピンの実家に母親が電話した。





すると実家にフィリピン側プロモーションの人間が来て、お宅の娘はどこにいる、家にいるなら出せと凄んだと言う。


実家の連中はAちゃんが逃げたこと自体初耳で、今は母親のもとにいることなぞ知らないまま、ここにはいません、日本にいるんじゃないんですか? あの子に何かあったんですか?と逆に聞いた。


プロモーション側はもちろん簡単には信用せず、隠すとためにならんぞ、また来るからなと言って帰ったそうな。そして言葉どうりこのあと何回も実家を訪れて同じやりとりがあった。


もちろん母親は実家に何も言うな、Aは私達と一緒にいるから心配するなと伝えたが、娘と再会できた喜びよりも、今後どうなるのかの心配のほうが大きかった。



落ち着いたAちゃん、少しずつなぜ日本に来たかを話しだした。


高校は卒業したが、ろくに仕事がない。フィリピンにいてもつまらない。欲しいものはあっても買うお金はない。友人の一人がジャパユキになり、自分もとにかくフィリピンから出たいと思ったという。


母親は娘の口から自分に会いたいからだということがひょっとしたら聞けるのでは、と思ったものの、そうした言葉は一度もAちゃんからは聞けなかった。



同居生活が始まった。日本語がまだほとんどできないAちゃんは家に籠りがちで、追っ手が迫っているのではと心配な母親も無理にAちゃんを連れ出しはしなかった。予想外に気を遣いAちゃんに優しくしたのは、Aちゃんの妹たちとなる旦那との間の娘二人だった。彼女たちは母親や母親のフィリピン人友達たちから覚えた片言のタガログ語で一生懸命Aちゃんに話しかけ、世話をやいた。


旦那も言葉が通じないながらも相変わらず優しく、なにかとAちゃんの世話をした。妻である母親は、優しい人で良かった、アレさえなければ最高の夫なんだけど、と思った。(旦那のアレ、についてはまた改めて書きます。いや、書くかもしんない)



もしかして思っていた、日本サイドのプロモーションやAちゃんがいた店の関係者などからの連絡や訪問もなく、徐々に落ち着いてきた一家は、Aちゃんを近所の買い物などに連れ出すようになった。まだAちゃん一人で外を歩かせたりはしなかったが、突然現れたお姉ちゃんに喜ぶ二人の妹たちがAちゃんを近くの商店街やスーパーに連れ回した。

ちなみにAちゃんはパスポートは日本サイドのプロモーションに「預かられ」ていて所持していない。



(つづく)


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親の心子知らず、子の気持ち親分からず(2)

さて、一人歩きも落ち着いてできるようになってきたAちゃん、付き添いなしでも買い物や散歩に出かけるようになった。小遣いは母親が持たせたが、次第に足りなくなってきた。 当初Aちゃんは、いずれフィリピンに戻って大学で勉強したいと言っていた。母親も日本人の旦那も …

知らぬが仏 by Tsismoso・2006.04.23

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